つれづれなるままに

本が大好き。備忘録もかねて感想を書いていこうと思います。

読書感想文3:卍 著 谷崎潤一郎

一言感想:クレイジーサイコパスレズ

卍(まんじ) (新潮文庫)

卍(まんじ) (新潮文庫)

概要
真面目で仕事熱心な夫との単調な生活にどこか飽きてきていた主人公園子。園子は学校に通っていたが美術の時間、同じく女学生である「光子さん」と出会う。美しい光子に惹かれていく園子。二人は秘密の「姉妹」の関係となるのであった。夫がいる身でありながら光子を愛する園子。そこに光子の許嫁を名乗る男、園子の夫も交え物語の糸は複雑に絡み合っていく。最後に彼女たちが選んだ行動は・・・。
読後感想
とにかく光子の魔性の女感がすごい。そしてこの小説は自分的に名言、名シーンが多いなと感じる一冊。例えば光子の「男の人が女の姿見て綺麗思うのん当たり前や、女で女を惑わすこと出来る思うと、自分がそないまで綺麗のんかいなあいう気イして、嬉してたまらん」この一言に光子の自信と愛されて当然ですよ感があふれていると感じられる。また園子の夫の「お前は僕のことパッションないいうたけど、僕にかてパッションあったんや。」セリフが長かったため省略してしまったが、これは夫と光子が関係してしまった後の夫のセリフである。以前に園子から恋をしらない、パッションがないと言われ続けていた夫が、光子に魅了されてしまった。園子は夫の不貞に傷つくよりも先に光子の気持ちが夫に揺らがないか不安になってしまうのである。すでに夫婦関係は破綻しており、奇妙な三角関係が築かれてしまっている。その後に、光子が二人から受ける愛情を永遠のものにするためにとった行動はいまでいう洗脳といえるだろう。薬(睡眠薬?)を多量に飲ませ思考が働かない状態にさせる。夫婦が互いを疑いあうように仕向ける。自信過剰で愛らしく、ちょっと生意気な物語前半の光子は一体どこへいってしまったのか。夫も序盤は光子と仲が良すぎる園子を窘めてくれる善良な人なったのに、完全に光子の毒牙にかかってしまったかのような印象を与えられる。恐るべし光子。でも実際知人にいたら自分も惹かれてしまい、破滅への道を選んでしまうのかもしれないと思ってしまうのだった。