つれづれなるままに

本が大好き。備忘録もかねて感想を書いていこうと思います。

読書感想文2:死のドレスを花婿に 著 ピエール・ルメートル

一言感想:後半部分快感、そこまでの辛抱

 

死のドレスを花婿に (文春文庫)

死のドレスを花婿に (文春文庫)

概要

 

主役はベビーシッターの女性ソフィー。夫を過去になくしていることは明らかになっている。ある日、ソフィーが世話をしていた少年の家に泊まったときに事件は起こった。朝、目が覚めたら少年が死んでいたのだ。家の扉には鍵がかかっており、少年の両親は外出中。ということは、殺してしまったのは明らかに自分。そしてソフィーには最近記憶がなくなったり覚えがないことばかりしてしまうという事実があった。殺人鬼として捕まる前に逃げなくては…。

読後感想

章毎に視点が変わるから、ああ、これこういうことだったのね!っている気持ちを味わいたい方にはピッタリの一冊だと思います。同じ著者の作品であるカミーユ警部シリーズを読了していたため、騙される気持ちではいたけれども、謎が解明されていく過程ではやはりびっくりしました。以下ネタばれ。

 

 

とにかく、幸せなソフィーを襲っていく作為的な不幸が本当にかわいそう。夫へのプレゼントをしまったとおもったのに全然違う場所から後日出てきたとなったら、それが何度も続いたら。自分はやばくなったんじゃないか、認知症になってしまったんじゃないかって思わずにはいられない。でもそんなこと誰にも相談できない。合鍵を作って自宅に入るなんて読んでるこっちからすると意外と簡単な手法なのね、って思っちゃうけれども、忍び込まれている本人にとっては考えもしないんだろうな、と。もしかしたら自分の家も同じようにされてたらゾッとしますね。心がしんどくなるソフィーのかわいそうなシーンを抜けると後半部分は仕返し(このような表現でいいのか)へ。そこからが爽快! もちろんハッピーエンドってわけにはいかないけれどやられたらやり返すの精神があって、私的にはすごくよかったです。でも最初に殺されちゃったレオ君のお母さんの気持ちとかを考えると大団円では終わりませんね。まあサスペンスなので仕方がないか。もう一つ印象的だったシーンをあげるとしたら、お父さんがしれっと記録を捏造したところ。その捏造記事も反撃の大きな一手になってるから 本当におもしろい。父と娘の絆を感じました。 こういうあとからえ!ってなるサスペンスとかミステリーすごくツボなのでもっと読みたいなあ。