つれづれなるままに

本が大好き。備忘録もかねて感想を書いていこうと思います。

読書感想文4:ファイト・クラブ 著 チャック・パラニューク

一言感想:生きている心地はなにから感じればよいのか

概要 

平穏に仕事をし、生活を営む「ぼく」。ステータスとして整った家具を集めることを趣味としているが、生きている実感を味わえておらず、空虚な毎日であった。唯一、生の実感を味わうことができる癌患者互助グループでの会合を楽しみに生活をしている。そんな彼の人生はタイラー・ダーデンと出会ったことにより変化していくのであった。

感想

仕事をし、お金を稼ぎ、贅沢をする。他者より優位にたとうとするためにSNSに自分や手に入れたものをアップする。私も含め多くの現代人が行っていることだ。しかし、タイラーは違う。自分から見た価値を信じ、現代社会を破滅させようとしている。端からみればテロリストと同じような行動をしているが、読んでいるうちになぜかタイラーがすごくかっこよく見えてきてしまう。主人公がファイトクラブで他人を殴ることや受けた痛みを通して生きていることを実感している姿、どんどん仕事に対して不真面目になっていく姿をみているとハラハラする一方でうらやましいなという気持ちにもなってしまう。私は何によって生きている心地を感じている?仕事?家族との生活?はたまたお酒をのんで一息ついているとき?思わず考えこんでしまった。それは人それぞれだが、タイラーのようにスカッと生きていくことができれば楽しいだろうなと思う。

まさかの事実発覚にももちろん驚いたが、石鹸って手作りできるんだー、マーラがかわいそうだな・・・などと単純な感想もでてくる一冊。まだまだ読み込みが浅いため、日をあけて再読していきたい。

読書感想文1:レイチェル  著ダフネ・デュ・モーリア

一言感想:優しい悪女

レイチェル (創元推理文庫)

レイチェル (創元推理文庫)

概要

身よりのないフィリップ(わたし)は幼いころから従兄であり、コーンウォールの領主でもあるアンブローズと一緒に暮らしている。女嫌いのアンブローズの影響か、フィリップは女性にはまるで興味なし。あるとき、アンブローズがイタリアで急に結婚した。報告があった手紙からは相手の「レイチェルさん」を慕っているアンブローズの言葉が。にわかには信じられず、アンブローズをとられた気になり嫉妬心すら覚えてしまうフィリップ。しかし、次第に手紙は不穏なものへと変化し、最後にはアンブローズの死を告げられる。なぜ?「レイチェルさん」とはいったいどんな女性なのか。疑心暗鬼になるフィリップ。しかし、実際「レイチェルさん」に会ってみると・・・。

読後感想

まず、フィリップ。あなた感情的になりやすすぎでは。女性に免疫がないからかもしれないけれども、会ったこともないレイチェルのことは散々悪く思っていたくせに、いざレイチェルに会ったとたん、なんとか屋敷に引き留めようとするし、財産は差しだそうとするし・・・。お前、やめとけ!って何度もツッコンでしまいました。
レイチェルさん、表紙のイラストでイメージしているけれども、たぶん絶世の美女ではないんだよね。きっとどこにでもいるような女性。でも、仕草や話し方が女性らしい。登場人物の一人も、そのようなことを話しているシーンもありましたし。こんな女性になりたいなーーーって思っているけれども、難しそう。フィリップにとっては、幼なじみのルイーズとは大違いに見えたでしょう。ルイーズはフィリップのことが好きなのかなんなのか時折嫉妬してみせる感じが年頃の女性らしく読んでいてにやにやしてしまいました。ルイーズもはきはきした女の子で、とってもかわいいんだけどなあ。
最後のオチにはあえて触れないようにしておきますが、とにかくページをめくる手が止まらないこと間違いなし。本当にレイチェルは悪い人だったのか、それとも一人の男性を愛した純粋な人だったのか。明確な答えがないからこそ、もやもやする一方、楽しい読後になりました。同じ作者さんの本は、有名なレベッカの方を先に読んだのですが、自分的にはそれ以上に好きかもしれません。近代の技術で映画化とかしてほしいです。舞台化は難しいかな。ほとんどお屋敷でのシーンしかないし・・・。
あと、単純にイギリスに住みたくなります。イングリッシュガーデン最高!!。